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4/とある木曜日の試食会
 本日は卓美の所属する料理研究会主催の試食会。
 ゲストとして招かれた俺は、テーブルの上に広がる料理の数々に目を奪われていた…主に命の危険を感じて。
「はい、ショーちゃん、いっぱい食べてね?」
 卓美の優しい一言が死刑宣告に聞こえるのは俺の気のせいだろうか、いやない(反語)。
 そもそも、この学校には「料理」を主な活動とする部活動が4つもある。

 一つ、海原先輩が部長として所属する「美食部」。ここは和食や懐石料理を中心に作っている。
 一つ、山岡さんと栗田くんが主に活動している「東西料理部」。こちらは「美食部」と対照的に、洋食を中心に作っている。なお、この二人、「第二新聞部」にも所属している。
 一つ、荒岩くんが所属している「家庭料理研究会」。家庭でできるお手軽料理を中心に創作料理も作っている。
 そして、卓美が所属…もとい「間違えて」入部した「料理研究会」。ここは主に、「料理」を極めようとしている部活なのである…絶対的に間違った方向に。

 今回の料理は「見た目」は比較的まともな部類が多い。一部、原材料は何を使っているのか問い詰めたくなるような色をした料理、というより物体があるが。
「あ、ショーちゃん。私が作ったの、それだよ」
「って、お前かよ! もっとまともなもの作れよ!」
 物体Xを作成するとは…こいつ、絶対に料理スキルがマイナス方向に上昇しているな…
 卓美は期待に満ちた目で俺を見つめている。
 「や、本能的に食べると死の危険があることは重々承知していますが、幼馴染の視線を突っぱねて脱兎の如く去るという非人道的なことを行えるわけがないじゃないですか、だからその手に持っている料理道具というか凶器というか人の血に飢えたような鈍い光を放つものをそこらに置いて頂けないでしょうか、部長閣下」
 逃げ出そうとして、腰を浮かした瞬間、首筋に冷たい鉄の感触と背後に感じる凄まじい殺気…「料理研究会」の部長である鬼頭院先輩が俺の背後に立って、肩に手を当てながら、もう片方の手で果物ナイフー先輩仕様のサバイバルナイフ並の刃の分厚さーを卓美に見えない位置で俺の首に当てている。
 鬼頭院先輩が離れたことを確認して、俺は卓美が差し出してくる物体Xを正視する。
 …紫色だ…一面、紫色をしたものが一口大の大きさで5〜6個鎮座している。
 「あ、それ紫芋を使ったスイートポテトだよ」
 判明、紫色をしていたのは紫芋を使ったからか。それなら危険なものではないだろう。
 それじゃ、いただきます。


 次に目覚めたら、いつの間にか俺は家に帰っていて、丸1日分の記憶が曖昧になっていた。
 その際、卓美がえらく親切にしてくれたことが印象に残っている。


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